わかりやすい!環境問題とは?【人間は速すぎる】原因と対策

環境問題とは?

以前、環境とは何かという記事をまとめました。そこで少し「環境問題」とは何かについても議論しましたが、今回は歴史や世界・日本の環境に対する取り組みも含めてもう少しわかりやすく考えてみましょう。

環境とは?」の記事では、「環境」は主体によって変化し、同様に「環境問題」も主体によってとらえ方が異なるということをお話ししました

。例えば、遠くアフリカのタンザニアで生じている深刻な干ばつは、タンザニアに住む人々や動植物にとっては環境問題ですが、私たち日本人にとっては、何ら関係のない出来事です。したがって、日本に住んでいる限り、タンザニアの砂漠かを環境問題だとして実感することはありませんね。

一方、例え直接関係のない出来事であったとしても、同じ地球で起きている問題なのです。その上、干ばつは先進国で発生した大気汚染による酸性雨や、先進国が成長過程で引き起こした化石燃料の燃焼による地球温暖化が原因であったりするのです。

私たちは、身の回りの直接的に関係のある問題にだけ目を向けるのではなく、視野を広げ、地球全体で考えなくてはなりませんね。ここで、新たな環境用語を学習してきましょう。

“環境問題のうち、地球全体または広範な部分に影響をもたらす環境問題、あるいは問題の発生は途上国や一部地域であっても国際的な協調の下でなければ解決できない問題を地球環境問題といいます。
一方、影響が地域に限定され、原因の人為的行為と影響の関係が比較的に明瞭に捉えられる環境問題を地域環境問題といいます。“ 

eco検定 公式テキスト 改訂7版

この定義によると、タンザニアの干ばつは「地球環境問題」、東京湾の汚染は「地域環境問題」であると定義できますね。

下に、代表的な環境問題を「地球環境問題」と「地域環境問題」に分けた表を載せておきます。

環境問題の種別 地球環境問題 地域環境問題
大気系の環境問題 地球温暖化、オゾン層の破壊、
酸性雨、黄砂、越境大気汚染
大気汚染、ヒートアイランド現象
水環境系の問題 海洋汚染、淡水資源問題 水質汚濁
地盤/土壌の環境問題 砂漠化 土壌汚染、地盤沈下
生態系に関わる問題 生物多様性の減少、野生生物の保護、
森林(特に熱帯林)の減少
生物多様性の減少、自然環境との共生、
景観・里地里山・田園地帯の保全
途上地域などに普遍的に
顕在化している問題
途上国の環境(公害)問題、
有害廃棄物の越境移動
国際協調下での取り組みが不可欠の問題 世界遺産や南極の環境保全
地域の生活環境保全 廃棄物問題、騒音、振動、悪臭、
光害、電磁波
その他 化学物質問題、放射性物質による環境リスク問題、放射性廃棄物の処理

表 環境問題の区分   (© eco検定 公式テキスト 改訂7版)

環境問題っていつからあるの?

では、環境問題っていつからあるんでしょうか。環境問題の歴史を紐解いてみましょう。

環境問題は、基本的に人間が地球に対して起こしたものであるとされています。したがって、人類が地球上に誕生する前は、全く環境問題がなかったと言っても良いでしょう。

私たち人間の祖先である現代型ホモサピエンス、いわゆる「新人類」は、約20万年前に地球上に誕生しました。クロマニョン人がその代表で、フランスのラスコーやスペインのアルタミラにの洞窟に残されている絵が有名ですね。

打製石器を用いていた旧石器時代、磨製石器を用いていた新石器時代の人類は、他の動物たちよりも頭がよく道具を使うことができましたが、それでも数は多くなく、環境問題を引き起こすことはありませんでした。その後、日本では縄文時代、弥生時代と、時が進んでいきますが、環境問題を引き起こすことはありませんでした。

ではいったいいつから環境問題が発生したのでしょうか。

実は、それはとても最近のことで、18世紀にイギリスで産業革命が起こってからであると言われています。

産業革命とは?

“産業革命とは、科学革命に基盤を置く技術革新を、前資本主義経済体制において蓄積された財すなわち「資本」と、農業革命により過剰となった農村人口を都市が吸収した「労働力」を利用することにより、爆発的に生産力が向上した歴史的事実を言う。
なお、「技術革新」「資本蓄積」「都市労働力の増大」は相互に関係しておりどれかが唯一の要因とはいえない。”

Wikipedia

Wikipediaによる産業革命の定義は少し難しく書いてありますが、要するに「技術革新により産業が爆発的に発展した」ということです。

結果として、どのようなことが起きたでしょうか。産業が発展したということは、経済成長したということですね。結果として、環境を犠牲にして経済成長することとなってしまったのです。また、この当時、「環境への配慮」やそもそも「環境」という概念はありませんでした。

一方、18世紀は既に経済発展しているではないかと主張する人もいると思います。もちろん、石器時代や、10世紀ごろと比較しても、産業革命直前の方が経済発展しているというのは確かです。

ではなぜ、産業革命以降に「環境問題」が発生してしまったのでしょうか。

それは、経済発展と共に「人口が爆発的に増えたため」です。下のグラフを見てみてください。何のグラフかわかるでしょうか。

© World Population Growth, Our World in Data

これは、世界の人口推移のグラフです。このグラフからわかる通り、18世紀から爆発的に人口が増加していることが一目でわかりますね。

こうした急速な人口増加により、その人口を支える食べ物を得るために自然を壊して農作地を作り、人々の暮らしをより便利にするために、よりたくさんの工場を建てました。地球の自然には、自己修復能力があります。人間が少し自然に手を加えただけであれば、自然は自己修復できるのです。

しかし、産業革命以降では、人間による自然の改変があまりにも大きく、またあまりにも急速であったため、地球の回復が追い付かず、「環境問題」へと発展してしまったのです。

環境問題は、自然に対して問題を引き起こした人間にも返ってきます。高度経済成長期の日本では、四日市喘息や水俣病といった公害が起こり、人々を苦しめました。

環境と速度の関係

人間が自然に手を加えるスピードがあまりにも速いと、自然の自己修復能力を上回ってしまい、自然破壊につながります。自然は少しずつの変化であれば、適応して生き延びることができます。

でも、人間による改変スピードは速すぎるのです。その変化の速度についていくことのできなかった生物は、適応できずに絶滅してしまいます。下のグラフを見てみてください。上の紫のグラフが人間の人口のグラフ、下の緑のグラフが生物の絶滅数のグラフです。

© Center for biological diversity

ここからわかるように、人口増加と生物の絶滅数は比例していることがわかります。爆発的な人口増加による、人間の自然への影響のスピードは速すぎるのです。結果として、多くの生物が適応できずに絶滅してしまっています。

砂漠化が深刻化していた中国の内モンゴルにおいて、一人の日本人が立ち上がりました。彼がアジアノーベル賞と呼ばれる「マグサイサイ賞」を受賞するまでのエピソードはこちら
中国の中のモンゴル!砂漠と草原!内モンゴルの文化と環境【体験記】

では、環境問題ってどう対策したらいいの?

では、環境問題にはどのように向き合っていけばよいのでしょうか。

これまで述べてきた通り、環境問題の一番の原因は、人間による改変速度が速すぎることが原因でしたね。大量の二酸化炭素を放出してしまったことにより、海洋や森林による吸収速度を超えてしまったため、その温室効果から地球温暖化が発生してしまっています。

森林が再生するよりも速く、森林伐採を進めてしまったため、森林破壊による砂漠化、洪水などが発生してしまっています。人間の欲は留まることを知らず、より良いものを求めて常に発展を続けています。

発展を求めることは、悪いことではありません。私たちの生活はより便利になるためです。しかし、その過程で地球に対して多くの犠牲を払っていることを忘れてはなりません。

今こそ、持続可能な発展を目標に、「スローライフ」に再注目する時が来ているのではないでしょうか。毎日休みなく働き、自然を犠牲にしてまで目前の便利さを追い求めることが、本当に豊かな生活であると言えるのか、一度考えてみてください。おのずと、自分がやるべき環境問題への対処方法が見えてくるはずです。

酸性雨によるシュバルツバルトの深刻な立ち枯れから、世界の環境首都へと生まれ変わった街、ドイツのフライブルクの環境政策についての記事はこちら
世界の環境首都!ドイツのフライブルク【環境政策とおすすめ観光スポット】

また、「エコとは?」の記事において、よく耳にする「エコ」とは何なのか解説しています。この記事を読むと、日々の暮らしで実践するべき「エコ」とは何なのかが見えてきます。

ここにも、環境問題対策として私たちが取り組むべき具体的な行動が記載されているので、ぜひ読んでみてください。

こちらも:本当の豊かさって何だろう?【金?物?心?】

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