就活生も社会人も必見!CSRとは?【検定も】何の略?

CSRとは?

CSRという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

社会人や就活生であれば、一度は耳にしたことがあるんじゃないかと思います。でも、CSRが何の略か、どのような意味を持つのか、知らない人も多いのではないでしょうか。

今回は、漠然としか知らない人も多い、CSRについて解説していきたいと思います。

CSRは何の略?

CSRは”Corporate Social Responsibility”の略です。日本語に訳すと、「企業の社会的責任」です。

企業の社会的責任。日本語で聞くとわかりやすいような気もしますが、企業が持つ社会的な責任って何なのでしょうか。

それを具体的にわかりやすく掘り下げていきましょう。

CSRの定義は?

では、CSRが何の略かはわかりましたが、いったいどのような定義なのでしょうか。Wikipediaによると、CSRとは

“企業が倫理的観点から事業活動を通じて、自主的(ボランタリー)に社会に貢献する責任のことである。”

と定義されています。すなわち、企業は、自主的に社会に対して何かしらの貢献をしなくてはならないのです。また、それは倫理的な観点からでなくてはなりません。また、このような説明もなされています。

“CSRは企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆるステークホルダー(利害関係者:消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をする責任を指す。

CSRは企業経営の根幹において企業の自発的活動として、企業自らの永続性を実現し、また、持続可能な未来を社会とともに築いていく活動である。企業の行動は利益追求だけでなく多岐にわたるため、企業市民という考え方もCSRの一環として主張されている。”

企業は一般的に、自社の収益を上げるために事業を行います。自社の利益につながらない事業を行っても、意味がありませんよね。

一方、企業は、利益を追求するだけでなく、企業が社会へ与える影響に責任を持たなくてはなりません。なぜなら、企業の利益追求のための事業の結果、社会に多大な影響を与える可能性があるためです

例えば、工場を持つ企業は、工場を単に利益追求のためだけに運営した場合、排気ガスや汚染水は大気中や近くの河にそのまま放出することになるでしょう。

結果として、そこに住む生物や、近隣住民に多大な影響を与えることになってしまいます。要するに、各企業は自社の事業が社会に与える影響に責任があるのです。

ISO26000とは?

ISO26000って聞いたことがありますか?

ISOとは、"International Organization for Standardization”の略で、日本語で「国際標準化機構」と言います。様々な産業の国際規格を作成する団体ですね。

このISOがなぜ突然出てきたかというと、CSRにも大きく関係してくるからです。たくさんの規格がある中で、表題のISO26000は「組織社会責任」(CR)に関するものだからです。

ここでは、企業(CSRのC)に限定せず、全ての組織における社会的責任について言及されており、その社会的責任を果たすことにより以下のような効果が期待できるとしています。

社会から信頼を得る

法令違反など社会の期待に反する行為によって、事業継続が困難になることの回避

組織の評判、知名度、ブランドの向上

従業員の採用・定着、士気向上、健全な労使関係への効果

従業員とのトラブル防止、削減、ステークホルダーとの関係向上

資金調達の円滑化、販路拡大、安定的な原材料調達

eco検定公式テキスト

では、具体的にはどんな活動がCSRなの?

では具体的にはどのような活動のことを指すのでしょうか。

“最も基本的なCSR活動として挙げられるのは、企業活動について、利害関係者に対して説明責任を果たすことであるとされる。インベスター・リレーションズ (IR)は代表例である。環境問題に対する企業の責任が唱えられたのをきっかけに、様々なステークホルダーに対する責任が問題とされるようになった。

環境(対社会)はもちろん、労働安全衛生・人権(対従業員)、雇用創出(対地域)、品質(対消費者)、取引先への配慮(対顧客・外注)など、幅広い分野に拡大している。国連では、このうちの「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則をグローバル・コンパクトとして提唱し、世界中の企業・団体に参加を呼びかけている。”

社会人や就活生なら、IR資料を読んだことのある方も多いのではないでしょうか。ここでは、様々なステークホルダーに向けて企業の事業報告や財務状況など様々なことを発信しています

その中で、「統合報告書」と呼ばれる資料があります。この統合報告書では、企業の経営戦略や社会貢献などをまとめ、ステークホルダーに報告しています。

ここで、各企業のCSRについて詳しく述べられていると思うので、読んでみてください。以前は、「CSRレポート」を発行していた企業も多かったのですが、現在では多くの企業が「統合報告書」にまとめて報告しています。「サステイナビリティレポート」といった名前で報告しているところもありますね。

具体例を見てみよう

では、具体例を見てみましょう。まず、東京電力の例です。東京電力では、2011年3月の東日本大震災による福島の原発事故から、大きく信頼を下げてしまいました。信頼を回復するためにも、CSRに力をいれなくてはなりません。

東京電力「環境にかかわる取り組み」
http://www.tepco.co.jp/about/csr/

TEPCO 統合報告書 2018
http://www.tepco.co.jp/about/ir/library/annual_report/pdf/201809tougou-j.pdf

“東京電力グループでは、環境保全を経営の重要課題の一つと位置づけています。福島復興への責任を全うしつつ、持続可能な社会づくりに貢献するため、グループ一体となり、企業活動のあらゆる局面において環境に配慮し事業運営を行ってまいります。”

http://www.tepco.co.jp/about/csr/

そこで、東京電力は、福島復興はもちろんのこと、様々なCSR活動を行っています。最も有名なのが「尾瀬の保全活動」でしょう。尾瀬に行かれたことのある方なら気が付いたかもしれませんが、尾瀬の看板や木道、休憩所などあちらこちらで「東京電力」や「TEPCO」 といったマークを見かけたと思います。

そうです、尾瀬は東京電力の私有地なのです。東京電力は、大正時代に電力会社が発電を目的に取得した、群馬・福島・新潟・栃木にまたがる国立公園であり、かつ国の特別天然記念物であり、ラムサール条約の登録湿地でもあります。そこを東京電力が継承し、現在まで保全しています。

東京電力は、尾瀬の湿原の回復や、木道の整備、公衆トイレや山小屋の設置・管理、自然観察ガイドなど、自然を守りつつ、自然を楽しんでもらえるような活動をすすめています

また、尾瀬の知名度向上のために、尾瀬に敷設した木道の廃材を再利用した「尾瀬ノート」の制作・販売などを行っています。僕もこの取り組みに賛同し、尾瀬ノートを使っています。

こうした、自社の事業とは必ずしも直接の関係ない、倫理的かつ自発的な取り組みが、CSRなのです。



もう一つ具体例を見てみましょう。大手総合商社の三菱商事の例です。

三菱商事 サステナビリティ・CSR https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/csr/

三菱商事も日本トップクラスの企業なだけあり、様々な社会貢献事業を行っています。「森林保全プロジェクト」「熱帯林再生実験プロジェクト」「サンゴ礁保全プロジェクト」「三菱商事アート・ゲート・プログラム」「DREAM AS ONE. プロジェクト」「MC FOREST」「東日本大震災復興支援」などがありますね。

そのなかで、今回は「DREAM AS ONE. プロジェクト」に着目してみます。これは、”Dream as one”、すなわち「ともに一つになり、夢に向かって」という意味です。

三菱商事は障がい者支援に力を入れており、「障がいを持つ人々がスポーツに親しむ機会を増やしたい」「障がい者スポーツが持つ勇気と希望、感動を共有し応援の輪を広げたい」という思いから、「競技者と応援者両面への働きかけを行うことで、ともに一つになって夢に向かっていけるのではないかという活動です。

社会貢献の活動というと、自然環境の保全が第一に思い浮かぶかたも多いかもしれませんが、障がい者支援ももちろん大切なCSR活動です

「誰一人取り残されることなく」生活できる世の中を実現するためにも、企業が率先してこうした活動を行うことは非常に重要ですね。SDGs達成のためにも大切な取り組みです。

おわりに

CSRの定義や意味、具体例など、この記事を読んでお分かりいただけたでしょうか。

就職や転職活動の際には、その企業のメインの事業ばかりに目が行きがちですが、こうしたCSRの面にも目を向けてみると、企業の本質が見えてくるのではないでしょうか。利益のみを追求している企業というのは、今の時代には合いません。

ESG投資という「環境」「社会」「ガバナンス」の3つに着目した投資方法が世界的に広まっていることからも、CSRのような活動が、投資家からの評価につながっていることがわかります。

メインの事業だけでなく、利益とは直接関係がなくとも、社会をより豊かで持続可能なものにすることができる企業が、将来も人々から選ばれる会社なのではないでしょうか。

また、日本ではCSRは企業活動とは別に、社会からの企業に対するイメージを上げるために行われるものであると捉えられがちです。しかし、本来は企業の活動と社会貢献活動は一体であるべきで、社会貢献をすることが事業の発展につながるべきなのです。

そこで近年では、CSV (Creating Shared Value)という考え方も広まってきました。CSVの考え方では、企業の本業が社会活動と直結します。CSVについても今後まとめていこうと思います。

ちなみに、CSR検定という資格試験もあるので、CSRについてより実践的な知識を身に着けたい方はぜひ受験してみてください。環境全般の資格であれば、エコ検定という資格試験もあります。

また、企業の中には、CSRとして渡航費・滞在費などが企業負担の完全無料海外渡航プログラムを開催しているところもあります。そういったプログラムの探し方や、応募のコツなどをまとめてみたのでぜひ読んでみてください。
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