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先生以外も必見!ESDとは?何の略?【環境と教育】SDGsにも関連

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ESDとは?【環境と教育】

文部科学省

みなさん、”ESD”って知ってますか?多くのひとは聞いたことがないのではないでしょうか。国連が定める「持続可能な開発目標」の英語略称”SDGs”に少し似ているから関連があるのかなって考えた人もいるかもしれません。

実際、その予想は正解です。ESDは「教育」「持続可能性」に関連した重要キーワードです。今回はそんな”ESD”について紹介していきます。

ESDって何の略?日本語訳は?

“ESD”って何の略でしょう。先ほど、”SDGs”に触れましたが、その正式名称は英語で”Sustainable Development Goals”です。

”ESD”は、それとSDの部分は共通で、”Education for Sustainable Development”の頭文字をとったものとなります。日本語訳は「持続可能な開発のための教育」になります。

また、”ESD”は”Education about Sustainable Development”ではありません。すなわち、持続可能な開発を学ぶための教育ではないのです。持続可能な開発のための教育なのです。

ESDの定義は?

では、”ESD”の定義って何でしょうか。文部科学省の定義によると、ESDとは以下のようなものとなっています。

“現在、世界には、環境・貧困・人権・平和・開発といった様々な地球規模の課題があります。 ESDとは、地球に存在する人間を含めた命ある生物が、遠い未来までその営みを続けていくために、これらの課題を自らの問題として捉え、一人ひとりが自分にできることを考え、実践していくこと(think globally, act locally)を身につけ、課題解決につながる価値観や行動を生み出し、持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動です。 つまり、ESDは持続可能な社会づくりの担い手を育む教育です。”

教育というと、一般的に「数学」「国語」「英語」「理科」「社会」みたいな区分ごとに、教師が生徒に対して知識を伝授するという形が多いですよね。

一方、ESDでは、こうした従来の知識詰込み型教育とは異なり、多様なやり方で持続可能な社会づくりの担い手を育て上げる教育のことなのです。また、ESDは教育の場や学習者の年齢を限定しません。子どもからお年寄りまで、全ての人が参加できる生涯学習なのです。

ESDの考え方

上でESDの教育方法は従来の知識詰込み型教育とは異なるとを述べました。しかし、その学習テーマや内容は、必ずしも新しいものであるとは限りません。従来の教育内容にも、ESDに繋がるようなテーマがたくさん散らばっているのです。

それを拾いあげ、ESDという新しい視点から捉えなおすことで、個別分野の取り組みに、持続可能社会の構築という共通の目的を与え、具体的な活動の展開に明確な方向づけをすることができるのです。

例えば、「算数」や「数学」は世界を数値化して捉えるのに役立ちますし、「化学」で酸性雨の原因を調べてみたり、「地理」で貧困地域の気候条件を捉えてみたり…いくらでも方法はあり、それら多くは分野を横断して様々な観点から学習できるものでもあります。

こうして、従来の教育内容から、ESDにつながる要素を見つけ出し、方向付けをするためには、まず、教師がよりESDについての理解を深めなくてはなりませんね。

ESDで育みたい力

では、ESDで育みたい力、あるいは育むことのできる力とはどのようなものなのでしょうか。文部科学省によると、従来の知識詰込み型教育による「知識の獲得」を主目的とした教育方法とは異なり、ESDでは持続可能な開発に関する価値観や、クリティカルシンキングリーダシップといった、より実践的な能力を身に着けることができるとしています。

○持続可能な開発に関する価値観 (人間の尊重、多様性の尊重、 非排他性、機会均等、環境の尊重等)

○体系的な思考力(問題や現象の背景の理解、多面的かつ総合的な ものの見方)

○代替案の思考力(批判力)

○データや情報の分析能力

○コミュニケーション能力

○リーダーシップの向上

また、ESDの実施には特に次の2つの観点が必要であるとされています。

人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育むこと

○ 他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」、「つながり」を尊重できる個人を育むこと

文部科学省

ESDの概念図:
関連する様々な分野を、「持続可能な社会の構築」の観点からつなげ、総合的に取り組むことが必要です。

「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標にも

国連広報センター

国連のSDGsにおいても、”ESD”は含まれています。目標4「質の高い教育をみんなに」の中のターゲット4.7において、以下のような項目が含まれています。

“「2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等。平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シティズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通じて、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。”

国連広報センター

具体例は?

では、どのような活動がESDとして具体的に行われているのでしょうか。そのESDの活動の具体的拠点として、「ユネスコスクール」というものがあります。文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールをESDの推進活動拠点と位置づけています。

ユネスコスクールとは?

“ユネスコ憲章に示された、ユネスコの理想を実現するため、平和や国際的な連携を実践する学校であり、ユネスコが認定する学校です。現在、世界182以上の国・地域で10,000校以上のユネスコスクールがあり、日本国内の加盟校は939校です(平成28年9月現在)。“

日本ユネスコ国内委員会

ユネスコ憲章(抜粋)

“この機関の目的は、国際連合憲章が世界の諸人民に対して人種、性、言葉又は宗教の差別なく確認している正義、法の支配、人権及び基本的自由に対する普遍的な尊重を助長するために教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献することである。”

ちなみに、ユネスコは英語で”UNESCO”と書き、”United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization”の頭文字をとったものとなります。日本語訳は「国際連合教育科学文化機関」です。

ユネスコというと、世界遺産のイメージが湧く人も多いかと思いますが、世界遺産の認定はその活動の一部だけなのです。

では、本題のESDの具体的活動を見ていきましょう。

ESD大賞の受賞校事例として、文部科学大臣賞を受賞した、岡山県岡山市立京山中学校の事例です。

テーマ「京山から世界が見える学校へ」~グローカルな視点を活かした授業・活動で育む思いやり・夢・志 共育~

ねらい:

具体的な課題の発見・探究・解決・提案の過 程で、生徒自らが持続可能な社会づくりへの価 値観を身につけ、自らの意志決定を促し、行動の 変革を促す。

実践内容:

教職員はESDの視点によるカリキュラムの再構築を行う。学年ごとの評価規準表を作成し、つけたい力を明確にしたESDカレンダーの図式化を行う。また、教科を横断した単元学習プログラムを作成し、W型問題解決モデル(実社会や実生活における問題解決のための科学的能力を培う方法論。)を参考に探究活動のカリキュラムを実践し、持続可能な京山の教育の実現に向けて本校版の学習指導要領解説を作成する。

1年生は、地域フィールドワークで探究活動の基礎を学び、2年生にかけて広島研修を核とした平和学習への取り組みを行う。2年生は、人権・国際 理解・環境の学習に取り組む。また、多摩市立多摩永山中学校及び多摩市立東愛宕中学校と「世界の人々と共に生きる」をテーマに、テレビ会議システムを使って意見交換をし、その意見を3校でまとめ、平和宣言を東京から世界へ発信する。

3年生は、水俣フィールドワークを中心に環境問題等の個人テーマを設け探究活動を行い、地域や未来への提案として発信する。3年間で自ら考え、行動し、発信しようとする資質の育成を目指す。

成果と課題:

全校的な取り組みを通じて、生徒及び教員、保護者の意識変革につながっている。ESDの視点でプログラムを再編したことやESDカレンダーの作成で、教科授業の充実・改善や教職員間の授業改善が深まった。

 生徒自身が、地域に誇りをもち、自尊感情を高めながら、地域の一員として課題意識をもてるようさらに改善を図りたい。単なる調べ学習に終わらないように、探究的な

取り組み、実際の体験や交流、コミュニケーション活動を充実させたい。地域や他校との連携をさらに深めていきたい。

参考:2014年ユネスコスクール世界大会記念 ユネスコスクールESD優良実践事例集

この例からわかるように、京山中学校では教職員と生徒が協力して”ESD”に取り組んでいます。その中で、従来の知識詰込み型教育ではなく、フィールドワークといった実践的な学習や、他校との交流を通じたディスカッション、未来への発信といった「考え、行動し、発信する資質」を身に着けるような教育方法を実践しています。

こうした教育方法により、知識を得てテストでよい点を取れればよいという考えではなく、世の中ではどのようなことが起きていて、それに対して自分はどのように考え、どのように活動していけばよいのか、といった実践的な力をつけることができます。

ノルウェーの元首相ブルントラントによると、

「持続可能な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発である。」

持続可能な社会を形成するためには、自分の目で見えている世界だけでなく、地球全体、そして未来についても考慮し、行動しなくてはなりません。自分だけが良ければよい、という考えではなく、地球全体の未来がより良いものとなるよう行動しなくてはなりません。

ESDの標語は、

「今日よりいいアースへの学び」

です。

ESDは、必ずしも学校で行われる必要はありません。会社でも家庭でも友人との間でも実践可能です。「今日よりいいアースへの学び」を意識して、身近なところからESDを実践していきたいですね。

他記事:持続可能性、持続可能な開発とは?
SDGs(持続可能な開発目標)とは?【ピコ太郎がアンバサダー?】

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