環境という言葉には裏がある!環境系学部学科の選び方【受験生必見】

環境系学部?

今回は、大学進学を目指す皆さんに対して書こうと思います。テーマは、やはり「環境」。環境という言葉が幅広い意味を持つことは、以前の記事にまとめさせてもらいましたが、その幅広さから、学部選びの際には少し注意しなくてはなりません。僕が高校生だった頃、環境について学びたくていろいろ調べまくりました。

でも、良い情報は見つからず、学部の名前に引っ張られる形で進学することになってしまいました。結果的に、悪い選択ではなかったとは思いますが、入学前に漠然と思い描いていた「環境」とは異なることを大学で学ぶこととなりました。

こうした経験から、僕が大学選びの際に知っておきたかった「環境」に関する情報をみなさんに共有したいなと思います。

「環境」ブーム

近年の環境ブームから、日本全国に環境を冠する学部は数多くあります。

環境と名の付く大学学部一覧

とりあえず、東大、京大と東京の有名私大(早慶上智、MARCH)について調べてみましたが、それでもこれだけたくさんあります。

東京大学 理学部 地球惑星環境学科

                 農学部 環境資源科学課程

京都大学 農学部 地域環境工学科

                 農学部 食料・環境経済学科

早稲田大学 創造理工学部 環境資源工学科

                  創造理工学部 社会環境工学科

                  人間科学部 人間環境科学科

慶應義塾大学 環境情報学部

上智大学 地球環境法学科

明治大学 農学部 食料環境政策科

中央大学 理工学部 都市環境学科

法政大学 人間環境学部

また、大学名に「環境」を冠している大学まであります。

鳥取環境大学

これらの学部学科一覧を見てもわかる通り、「環境」を冠していても、理系から文系まで非常に幅広い分野であることがわかります。

大学で「環境」を学びたい皆さんへ

大学で「環境」を学びたい皆さんは、もう一度「環境」とは何なのか考え直してみてください。自分の本当に学びたい「環境」は、どの分野の環境なのか。生き物、山、川、森林などが好きならば自然環境であるし、人間の生活を中心とした環境であれば人間環境ですよね。

環境に関する法律であれば、環境法の分野ですし、食べ物であれば食環境です。「環境」という言葉は、どんな分野にも変化しうるのです。「環境」という名前だけに惹かれて飛びついてしまうのは危険です。

環境学部は名前詐欺?

「環境」を冠する学部学科は、実は非常に新しいのです。「環境」が流行りはじめたのがわりと最近であることから、受験生獲得のため、多くの大学が「環境」と名の付く学部を創設したり、「環境」と名の付く学部に名前を変更したりしています。

結果として、中身は全く変わっていないのにもかかわらず、多くの大学が、「環境」と名付ける前よりも多くの受験生を獲得しているのです。

学部学科名から「環境」を取り除いて考えてみよう

では、どのようにしてその学部学科が自分の学びたい「環境」分野であるか見抜けばよいのでしょうか。それは簡単です。学部学科名から、「環境」を取り除いてみましょう。上記の例で考えてみると…

東京大学 理学部 地球惑星環境学科 → 地球惑星学科

                農学部 環境資源科学課程 → 資源科学課程

京都大学 農学部 地域環境工学科 → 地域工学科

                農学部 食料・環境経済学科 → 食料経済学科

早稲田大学 創造理工学部 環境資源工学科 → 資源工学科

                 創造理工学部 社会環境工学科 → 社会工学科

                人間科学部 人間環境科学科 → 人間科学科

慶應義塾大学 環境情報学部 → 情報学部

上智大学 地球環境法学科 → 地球法学科

明治大学 農学部 食料環境政策科 → 食料政策科

中央大学 理工学部 都市環境学科 → 都市学科

法政大学 人間環境学部 → 人間学部

このように、「環境」と学部学科名から取り除いてみると、その学部学科がどのようなものであるか、非常にわかりやすくなりますよね。「環境」は、他の単語とくっついて、どんな分野にもなれる一方で、取り除いたとしても全く意味は変わらないのです。

「環境」という名がついていたからこそ、魅力的に見えていたかもしれない学部学科も、取り除いてしまうと、他の学部学科と代わり映えのしないように思えるかもしれませんね。

でも、それでよいのです。「環境」という言葉に惑わされることなく、自分が本当にやりたいことは何なのか判断するようにしてくださいね。

改名前の学部名にも着目してみよう

2000年前後、多くの学部学科が環境ブームに乗り、「環境」と名の付く学部学科を創設しました。また、既にある学部学科の多くも、「環境」と名の付く学部学科に変貌を遂げました。その前後を比較してみましょう。

現在の学部学科名 → 改名前の学部学科名(改名年)

東京大学 理学部 地球惑星環境学科 → 地学科 (2006)

京都大学 農学部 地域環境工学科 → 農業工学科 (2001)

早稲田大学 創造理工学部 環境資源工学科 → 資源工学科 (1998)

早稲田大学 創造理工学部 社会環境工学科 → 土木工学科 (2003)

どんなイメージを持ったでしょうか。改名前の名前を見ると、全くイメージが異なるのではないでしょうか。もちろん、名前を変更することで、授業内容にもいわゆる「環境」が含まれるようになっています。しかし、名前が変わっただけでは大きな変化はありません。「環境」という名に惑わされないよう、しっかりとリサーチしてから進学先を決めましょう。

ちなみに、国立研究開発法人である「国立環境研究所」も、もともとは「国立公害研究所」という名称でした。

では、実際にどうやって学部学科を決めればいいの?

では、実際にどうやって進学する学部学科を決めればよいのでしょうか。それはずばり、「直接」大学を訪問してみたり、生きたい学部学科に所属している教授の論文を調べてみることです。

ゼミ、研究室及び教授を調べてみよう

 まず、興味を持った学部学科の研究室及び教授を調べてみましょう。「学部学科名」「研究室 or ゼミ」などと調べてみれば出てくるはずです。(基本的に文系であればゼミ、理系であれば研究室を調べましょう)そのゼミ/研究室で行われている研究テーマが、あなたが将来、進学した際に学ぶことになる学問分野となります。

実際に訪れてみよう

上記の方法で、HP上ではなんとなく研究・ゼミのテーマがわかったと思います。個人的には、HP上で調べる方法でだいたいのテーマがつかめるため、十分ではあるとは思いますが、直接訪れてしまった方が、より確実にやりたいこととのマッチングができます。また、モチベーションアップにもつながりますね。

多くの研究室では、随時見学を受け付けています。HP上にメールアドレスや電話番号が記載されていることがあるので、ぜひ連絡して訪れてみましょう。また、アポなしで直接訪れるのは迷惑なのでやめましょう。

オープンキャンパスやオープンラボの日を狙うのもありですね。この日であれば、事前予約せずとも直接研究室を訪れたり、ゼミ生に話を聞いたりすることもできます。

論文を調べてみよう

行きたい研究室/ゼミの教授の論文を調べてみましょう。その論文テーマが、将来そこでやることになる研究テーマとなります。研究室/ゼミのHPに出版論文が記載されていることもありますが、記載されていない場合は、「教授名」「論文」などという風に検索してみましょう。”Web of Science”や”Science Direct”といった論文検索エンジンもありますが、課金するか、大学生になってからでないと使えません。タイトルとアブストラクトだけでも、研究の方向性はつかめるでしょう。

就職先を調べてみよう

 その学部学科を卒業した先輩たちが、どのような進路を選んでいるのか、調べてみましょう。あなたが、その学部学科を選択した場合、似たような道を歩むことになりますね。一方、日本の新卒一括採用制度では、学部時代の専攻と関係なく採用されることも多いため、なんとなくの傾向をつかむだけにとどめておきましょう。「学部学科名」「卒業後の進路」などと検索すると見つかると思います。

もし進学した学部学科が、自分のやりたい「環境」と違っていたら?

上記の方法で事前にしっかり調べていれば、自分のやりたいことと、進学先の学問テーマのミスマッチは非常に少なくなるはずです。しかしながら、万が一やりたいことと違っていた場合、どうしたら良いのでしょうか。

転部

多くの大学では、転部制度があります。学内の成績評価であるGPAが良く、転部試験や面接試験に合格した場合にのみ転部が認められます。一度大学に入ってしまえば、他の学科の教授の連絡先を得るのも容易ですし、研究室やゼミへの訪問もしやすくなります。より自分に合った学問テーマの教授を探し出し、転部しましょう。

大学院進学

大学院で、より自分の興味のあるテーマを研究する。大学院の研究テーマは、学部よりも、より狭い範囲に限定した研究テーマも多いです。また、研究のテーマの幅も広がります。特に、環境系は大学院に入ると、一気に幅が広がります。環境と近しい関係にある”Sustainability”、「持続可能性」といった分野の研究は、大学院から始まるところも多いです。

それはすなわち、「学際的」”interdisciplinary”な分野であるからです。簡単にいうと、理系から文系まで、複数の学問分野にまたがった学問テーマであるからです。

学部時代において様々なテーマで学習した学生たちが、自らの強みを持ちつつ、大学院で一つに集まり、分野の壁を越えて研究を行います。したがって、今の学部の研究がつまらなかったとしても、大学院でそれを生かした面白い研究ができるようになるでしょう。

海外留学

多くの大学では、海外への交換留学制度があります。それを利用して、環境系の学部がある大学へ留学しましょう。日本とは全く異なった視点から環境について学ぶことになります。日本とは異なり、主体的であり、かつ学際的であること意識した学部が多いように思います。

特に、ドイツ、スイス、オランダ、北欧(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク)といった環境先進国への留学を勧めます。授業や研究だけでなく、日々の生活から、環境を意識した学びができるためです。

こちらも:世界の環境首都!ドイツのフライブルク【環境政策とおすすめ観光スポット】

留学にはお金がかかると思われがちですが、文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」に代表される、留学奨学金は充実しています。こうした奨学金を利用してぜひ海外で環境を学んでみましょう。また、無料で海外へ渡航できるプログラムも数多くあります。その一部を下の記事にまとめてみたので、ぜひ読んでみてください。奨学金獲得のコツも、今後記事にまとめていきたいと思います。

【体験談】僕は10回行きました!企業や国を活用して無料で海外に行く方法【探し方編】

環境系サークル、学生団体、ボランティア

進学した学部学科に面白さを感じられなかったら、環境系サークル、学生団体、ボランティアを探してみましょう。エコや農業といったテーマで活動している団体もたくさんあります。

自分の大学内で見つからなかったら、近くの大きな大学を調べてみましょう。インカレOKのサークルや学生団体もたくさんあります。activo(https://activo.jp/tokyo/environment)のような、環境ボランティアを募集しているサイトもあります。こうした、学外の活動を充実させてみましょう。



「環境系」といっても、幅広いことがわかりましたね。「環境」という名に騙されることなく、しっかりと自分のやりたいことと、学部学科の学問内容を見極め、マッチングさせるようにしてください。失敗のない進学先選びができれば、大学生活はとても充実したものになるはずです。

他記事: 本当の豊かさって何だろう?

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