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【書評】「再エネ大国日本」への挑戦 再生可能エネルギー+循環型社会が人口減少と温暖化の危機を救う!【レビュー】

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「再エネ大国日本」への挑戦 再生可能エネルギー+循環型社会が人口減少と温暖化の危機を救う!

山口豊+スーパーJチャンネル同様取材班、山と渓谷社、2020

2020年3月に出版された環境問題、特に再生可能エネルギーに焦点を当て、日本各地の先進的な事例を取材し、テレビ朝日アナウンサーである筆者の考えと共にまとめられた本です。

今回は、当書籍の簡単な概要説明とレビューというか感想をつらつらと記したいと思います。読んでからずいぶんと経ってしまったので、思い出したまま書き記していきます。

2020年に読んだ環境・エネルギー系の本の中では一番面白く、かつ読みやすい本でした。(全分野では、ベストセラーになっているハンス・ロスリングの「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」です。)

筆者がアナウンサーであるということもあり、読者の目線に立って書かれた非常に読みやすい文章です。丹念な取材と丁寧な解説により、自分が現場にいるかのように思わせてくれる内容でした。

再生可能エネルギーを軸とした地方創生が主な内容となります。過疎化が進み、限界集落が増えつつある地方において、地域が自立して経済を回す手段としての太陽光発電、水力発電、バイオマス発電の導入事例を紹介しています。再生可能エネルギーは、産油国にお金が出ていってしまう化石燃料とは異なり、地域内でお金を循環させることが可能です。

再生可能エネルギーを用いて地域が自立してくると、若者たちが村に新たに入ってくるようになりました。若者たちは田舎での自然と調和した生活を楽しみながら、起業を初めとする村おこしに積極的に参加します。すると彼らに影響され、新たな若者の流入につながっていくのです。

面白いなと思ったのは、「里山資本主義」で有名な藻谷浩介氏との対談ですね。特に電気や農作物の自給とGDPの関係は、今まであまり意識したことがなかったので、こんな観点もあるんだなあと、面白いなあと思いながら読み進められました。そして「豊かさ」とは何かについても触れられていましたね。

“農作物を需給する人がいるように、電気を自給する人がいてもよい。自給すると、その分お金が動かないのでGDPは下がる。しかし、本来は経済指標の1つに過ぎないGDPは減ってもよい。農作物や電力を自給する人が増えた方が、社会の安心・安全は高まる。

豊かさの基準はお金だけではない。本当に豊かな社会は、無駄なことにはお金をかけない、エコな社会。農作物も電気も集中的に大量生産して、長距離を運んで売ろうとすると、どうしてもロスを生む。電力の場合は、使われない夜間電力の無駄もあれば。送電のロスもある。“

再生可能エネルギーと対比して、化石燃料についても多く触れられていました。化石燃料と化石燃料を用いた火力発電所は、日本ではまだまだ主要なエネルギー源です。一方、菅総理大臣は臨時国会で行った所信表明演説で「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、『2050年カーボンニュートラル』、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言する」と表明しましたね。

今後、再生可能エネルギーのコストが下がり、化石燃料を利用した火力発電のコストが相対的に上がっていきます。日本の化石燃料輸入量は年々減っていますが、原油価格上昇により、化石燃料輸入価格は上昇しています。また、化石燃料に投資をする銀行への銀行預金を引き揚げ、他の銀行に乗り換えるダイベストメント運動も今後盛んになっていくことでしょう。これらの理由により、今後再生可能エネルギーの優位性はどんどん増していくと考えられます。

一方、原発はどうでしょう。化石燃料を使わず、二酸化炭素も使わないクリーンなエネルギーとして着目されていますね。原発についても、本文で触れられています。原子力発電に用いるウランは、化石燃料以上に希少な輸入資源で、値段も高いです。また、使用済み核燃料や廃炉となった原発の管理にはいつまでもお金がかかります。これらのコストを考えると、原発を推奨することはできないという主張が述べられていました。

原発はSustainableなのかという観点からの議論は、資源としてのウランの希少性や使用済み核燃料の処分費用の観点のみから記されていましたが、実際には1987年、当時のノルウェー首相であるブルントラントが出したレポート”Our Common Future”、通称ブルントラントレポートによる定義(以下の引用参照)によると、現在世代が使用済み核燃料の処分を次の世代に負担させるという意味で持続可能ではないと言えますね。

「持続可能な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発である。」

こちらの記事でサステナビリティとは何かや、ブルントラントレポートについても触れています。
持続可能性、持続可能な開発とは?【世界中で話題】Sustainability

ここで著者の経歴も少し触れておきます。

著者紹介

山口 豊(やまぐち ゆたか)
テレビ朝日「スーパーJチャンネル土曜」メインキャスター、「BS朝日 日曜スクープ」メインキャスター、「ザ・スクープSPECIAL」では鳥越俊太郎に次ぐナビゲーターを務める。
「報道ステーション」で10年にわたり、災害現場や温暖化問題の取材を続け、局で一番フットワークの軽い報道アナウンサーとして日本全国はもちろん、世界の自然災害現場の最前線まで様々な現場を取材してきた。早稲田大学出身。日本航空(JAL)からアナウンサーに転身。1967年生まれ、埼玉県さいたま市出身。

著者概要

再生可能エネルギー+循環型社会が人口減少と温暖化の危機を救う!
テレビ朝日スーパーJチャンネル土曜特番の書籍化。

日本には電力需要の1.8倍の再エネ供給力(1.8兆kWh)が眠っている。
しかし、実際に利用されている再エネは、その約10分の1の1,773億kWhにとどまる(2018年度)。
一方で、日本はエネルギー自給率が11.8%しかなく、多くを海外からの化石燃料に依存している。
日本が化石燃料の購入のために支払った19兆円(2018年度)。このお金の流れを変えれば、日本は再生する。

人口減少の危機は、地方の衰退を招き、今や「地方消滅」の時代と言われています。
税収が減るだけでなく、人材の流出、産業も細るばかりです。

そんな先行きが見えない不安の声が日本各地から聞こえてくるなか、
若い人が増え、現金収入が増え、自然再生や温暖化対策にもなり、
人も地域も元気を取り戻すことに成功した事例があります。

この夢のようなストーリにある共通点とは?
テレ朝「スーパーJチャンネル」の土曜メインキャスター、山口豊が現地を訪ね、
その秘密を解き明かす書き下ろしドキュメント。

各地で盛り上がる自然エネルギー発電と地方再生に至るルポからは、
日本再生につながる明確なビジョンが浮きあがってきた。

再エネ先進国、ドイツの再生可能エネルギー事情など、世界の最新事情も描きながら、
『里山資本主義』の著者、藻谷浩介氏のインタビューも収録。
地方発、限界集落からの逆転ストーリーが「日本の未来」を明るくする!

再生可能エネルギー+循環型社会が人口減少と温暖化の危機を救う!
テレビ朝日スーパーJチャンネル土曜特番の書籍化。

日本には電力需要の1.8倍の再エネ供給力(1.8兆kWh)が眠っている。
しかし、実際に利用されている再エネは、その約10分の1の1,773億kWhにとどまる(2018年度)。
一方で、日本はエネルギー自給率が11.8%しかなく、多くを海外からの化石燃料に依存している。
日本が化石燃料の購入のために支払った19兆円(2018年度)。このお金の流れを変えれば、日本は再生する。

人口減少の危機は、地方の衰退を招き、今や「地方消滅」の時代と言われています。
税収が減るだけでなく、人材の流出、産業も細るばかりです。

そんな先行きが見えない不安の声が日本各地から聞こえてくるなか、
若い人が増え、現金収入が増え、自然再生や温暖化対策にもなり、
人も地域も元気を取り戻すことに成功した事例があります。

この夢のようなストーリにある共通点とは?
テレ朝「スーパーJチャンネル」の土曜メインキャスター、山口豊が現地を訪ね、
その秘密を解き明かす書き下ろしドキュメント。

各地で盛り上がる自然エネルギー発電と地方再生に至るルポからは、
日本再生につながる明確なビジョンが浮きあがってきた。

再エネ先進国、ドイツの再生可能エネルギー事情など、世界の最新事情も描きながら、
『里山資本主義』の著者、藻谷浩介氏のインタビューも収録。
地方発、限界集落からの逆転ストーリーが「日本の未来」を明るくする!

記者として長年、再生可能エネルギー関連の取材を続けられている方のようです。マスコミは世間に情報を広める上でかなり強い力を持っている(それが正しいものであれ、間違ったものであれ)ため、新たな知識を吹き込むのにも大いに貢献します。再生可能エネルギーや環境に関して、まだまだ認知が足りていない部分が多いため、これからもテレビやネット、そして今回のように書籍を通じて発信を続けていただきたいですね。

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