【SDGs】環境とは?わかりやすく解説【定義や具体例あり】エコやESGも

環境って何なんだろう?

テレビでも新聞でも、あちらこちらで日常的に「環境」という言葉を耳にする機会がありますよね。でも、いったい「環境」って何なのでしょうか。よく耳にし、口にもすることもあると思いますが、いったん立ち止まって考えてみると、漠然としていて簡単には掴めませんよね。そこで今回は、「環境」とは何なのか、考えていきましょう。

一般的に、「環境」というと、環境問題、つまり「地球温暖化」や「自然破壊」といった地球上の自然や地球そのもの、そして「大気汚染」といったいわゆる「公害」を思い浮かべるかもしれません。

それは、間違った認識ではありませんが、「環境」という言葉の一面にしか過ぎないのです。また、「環境」という言葉にはネガティブなイメージはありません。教科書やマスコミが、「環境」について述べる際に、必ずと言っていいほど「環境問題」に焦点を置いているため、そのように印象づけられてしまったのかもしれませんね。

では、もう一度。「環境」って何なのでしょうか。環境の定義を考えてみましょう。Wikipediaによると、

環境(かんきょう)は、広義においては人、生物を取り巻く家庭・社会・自然などの外的な事の総体であり、狭義ではその中で人や生物に何らかの影響を与えるものだけを指す場合もある。特に限定しない場合、人間を中心とする生物を取り巻く環境のことである場合が多い。

よくわかりませんね。では、具体例を挙げて解説していきましょう。ここでは、わかりやすくするために、主体を「自分」にして考えてみます。

  1. 広い意味での環境:自分ではない周りのもの全てのことです。例えば、自分をとりまく大気のような自然のものだけでなく、家庭や学校、会社はもちろんのこと、道端の雑草やカタツムリも広義の環境に含まれます。
  2. 狭い意味での環境:自分ではない周りのものの中で、自分に影響を及ぼすもののことです。例えば、自分のまわりの大気が汚染されたら、あるいは自分の通う学校が閉鎖されたら、自分は影響されます。これが、狭義の環境です。

身近な例で考えてみよう

では、道端の石ころはどうでしょうか?もうおわかりだと思います。道端の石が一つ減ったところで、自分には何ら影響はありませんね。そうです、道端の石ころは、広義の環境には含まれますが、狭義の環境には含まれません。

これで「環境」の定義についてなんとなくは理解できたと思いますが、一方よく耳にする「環境問題」というのは何なのでしょうか。道端の石ころが踏まれて割れてしまっても、それは「環境問題」なのでしょうか。

 環境の中でも主に自然に関する諸問題を環境問題という。生物とそれを取り巻く環境との学問を生態学という。自然とは山や川、木々や草花、動物、気象などであり、それと区別して人為的に作られた造形物、例えば、建物、道路、家具などは物的な環境として挙げられる。

Wikipediaの定義によると、「環境問題」とは、基本的に自然に関する諸問題のことであるようです。ではやはり、道端の自然の石ころが砕けてしまうことは「環境問題」なのでしょうか。

ここに、「環境」という言葉の特殊性が垣間見えます。なぜなら、「環境」という言葉は、主体によりその意味が変化しうるためです。

環境決定論と環境可能論

地理学では、歴史的に大きく分けて2つの考え方で「環境」が語られてきました。それが、ドイツの地理学者フリードリヒ・ラッツェル(1844-1904)によって提唱された「環境決定論」とフランスの地理学者ポール:ヴィダル・ドゥ・ラ・ブラージュ(1845-1918)によって提唱された「環境可能論」です。

環境決定論とは?

ラッツェルは「環境への適応のお結果、生物は進化した」というダーウィンの進化論を人の活動にあてはめ、現在みられている人の活動は地域の自然環境に対する応答であると考えました。人も生物の一種であり、自然の一部であるから、自然環境に支配されている。また、同じ自然環境が存在するのであれば、それに対応して同じ人の活動がみられると理解したのです。

例えば、「温暖湿潤な気候の地域では、その気候に適した米の生産とそれに伴う文化が存在し、冷涼乾燥な気候の地域では、同様に小麦の生産とそれに伴う文化が存在する」という考は、典型的な環境決定論です。

しかし、環境決定論は後に「白人は季節変化によって刺激のある気候の場所で生活しているから優れた性質を獲得し、一方、黒人は季節変化に乏しい刺激のない気候の場所で生活しているから怠惰なのだ」といったように、人種差別やそれに基づく植民地支配を疑似科学的に正当化する論拠として用いられるようになりました。南アフリカでのアパルトヘイト(人種隔離政策)は国際社会からの批判を受け終わりを告げましたが、近年でもアメリカでの白人警察官による黒人殺害事件を発端とする"Black Lives Matter" (BLM)活動に代表されるように、有色人種への差別・偏見は続いています。我々日本人も有色人種として欧米社会では差別の対象とされてしまうこともある一方、中国や韓国、東南アジアの人々を差別的な目線で見てしまっている日本人の方もいますよね。一度社会に根付いてしまった思想は取り除くことがいかに難しいかがわかります。

また、人は他の生物とは異なり、自然環境を克服してゆく側面もあるのではないか、そうであるなら活動の全てが自然環境に支配されるという考えはおかしいという批判も生じました。そこで、「環境決定論」に替わる「環境可能論」が提唱されました。

環境可能論とは?

人の活動が自然環境によって影響を受けることは確かだが、それはあくまで可能性の幅(あるいは選択肢)を与えるものである。したがって、同じ環境のある場所でも、同じ人の活動がみられるとは限らない、というのがその骨子です。人は純粋に自然の一部ではなく、社会的・歴史的な存在でもあり、環境に対する多様な反応があると理解したのです。

例えば、日本の北海道は、気候的には米よりも小麦の生産に向いた地域ですが、土地や品種の改良によって今や日本有数の米の産地です。それは、北海道への入植者の多くが、米食文化を持っていたためです。このように環境可能論は、「人が影響を受ける環境には、自然環境だけでなく、人の積み重ねてきた社会環境もある」と主張しているとも理解できますね。

こちらで解説した「環境決定論」「環境可能論」について、引用元は富田啓介氏の「あれもこれも地理学」になります。環境に特化した本ではありませんが、2020年発行の新しい本で、とてもわかりやすく楽しく地理学が学べます。身近な例に即した解説も多く、とてもおすすめです。

キーワードは「主体」

たとえば動物の種を主体に考えた場合、その種を取り巻く他種の生物との関係(食物連鎖や競争関係など)、それにその周囲の物理的・化学的条件が環境として挙げられる。しかし、その種の中の一個体を取り上げた場合、これに加えて種内の個体間の関係(個体群密度や家族など)を環境条件として考えなければならない。たとえばある個体群の増加率はその密度に依存する場合があり、これを密度効果と呼ぶ。

上述の例のように、主体のとらえ方により、「環境」は変化するのです。それはすなわち、私にとっての「環境」は、あなたにとっての「環境」とは異なるのです。石ころの例で考えると、あなたの家の近くの道端の石ころが砕けてしまった場合、あなたにとっては特に問題はありませんね。すなわち「環境問題」ではありません。一方で、その石ころの下に住んでいたダンゴムシを主体にして考えるとどうでしょうか。そうです、そのダンゴムシにとっては、家がなくなってしまったのであり、当然「環境問題」であると言えるでしょう。

このように、「環境」そして「環境問題」を考える際には、自分だけを主体にして考えてはなりません。自分にとって問題のないことであったとしても、他の誰か、何かには問題があることであるのかもしれないからです。こうした「環境」の特殊性が、世界各地で「環境問題」を引き起こしているとも言えるでしょう。

あなたを主体として考えると、何気なく使うことのできる紙は、安いこともあり、少し書いただけでもすぐに捨ててしまってもなんとも思わないかもしれません。でも、その紙を生産しているインドネシアの山間部の人々を主体にして考えると、紙を生産するための木が伐採されたことによる土砂崩れという「環境問題」に苦しんでしまっているかもしれません。また、その木が生えていた森林の小鳥や動物たちを主体にして考えると、住処を奪われてしまうという「環境問題」であるとも言えますね。



また、Wikipediaの水俣病という公害の例もわかりやすいですね。

この病気の原因は、チッソ水俣工場の廃液に含まれた水銀が水俣湾の生物に取り込まれ、食物連鎖を通じて変化、濃縮された上で地域住民がそれを摂取し、その毒性によって発病するものである。いわゆる公害病というのは、このように人間が原因物質等を作り、それが直接に人間に来るのではなく、その地域の生物群集に取り込まれ、生態系の循環を通じて再び人間に取り込まれたときに、そこではじめて結果が表れるものである。

公害というのは、公の害、つまり人間の働きで環境に働きかけたしっぺ返しが人間に戻ってきた、という把握に基づく。つまり、環境の主体を人間ととらえ、人間がそれを取り巻く環境を汚染したため、その悪影響を人間自身が受けた、と見るわけである。

しかし、この病気の被害者を主体に見れば、話は大きく食い違うことになる。その場合、チッソ水俣工場という一部の人間(企業)の活動が、海を汚した結果、その環境汚染の影響で有毒となった魚を食べた食物連鎖を通してネコや漁民が被害を受けた、という風になる。この場合、明らかにチッソ水俣工場側が加害者、漁民が被害者の立場となる。この結果の差は、人間集団内の差異を視野に入れるかどうかに関わっている。

このように、自らのみの利益を追求するがあまりに、周囲に対して盲目的になってしまうと「環境問題」が引き起こされてしまうと言えるでしょう。一人ひとりが「主体」のとらえ方を変えてみて、その主体からの視点で「環境」を考えてみると、世界の「環境問題」は解決に向かうのではないでしょうか。皆さんも一度、自分が中心の考え方に偏りすぎていないか、ここで考え直してみませんか?

一方で、こうした「環境問題」について、表面的に小学校の社会科の授業や、テレビで触れたことはあるかもしれませんが、深く考えた経験はあまりないのではないでしょうか。遠い地の見ず知らずの人間や動物について、考えてみようとなんて思わないと思わないでしょうし、彼らやその地について全く知らないのであれば、そこでの環境がどのようなものか想像することすら難しいのではないでしょうか。

しかし、現在、幸いなことにインターネットを中心とする、世界を簡単につなぐことのできる技術が発展してきました。こうした最新のテクノロジーを用いて、世界各地の「環境問題」を一度調べてみると、彼らの立場に立って物事を考えることがたやすくなると思います。

また、実際にその地を訪れるというのが、最も深くその地を知り、親しみを持つきっかけになります。現在はLCCと呼ばれる低価格の飛行機や、低価格の飛行機を比較することのできるウェブサイトも発達してきています。宿泊先についても、従来のようなホテルだけでなく、安価なホステルや民泊、ファームステイといった方法も出てきています。安価で、さらに現地の生活に深く溶け込む手段として非常に有効です。

自分で主体的に「体験」してみよう

「経験」は、座学と比較しても印章に残りやすく、学習として最も優れている手段であると言えます。私は、「環境」を学ぶために文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」プログラムで奨学金をいただいて、環境先進国のヨーロッパで「環境」について学んできました。こうした留学に関しても、多数の奨学金が存在し、また航空券・宿泊費支給の短期プログラムも多数存在します。完全無料のプログラムに関しては、倍率が高く選考が厳しいものも多いですが、単なる旅行とは異なり、

  • その地について深く学習することができる点
  • 多くの海外からの友人を作ることができる点
  • プログラム中に飲み会などで、ネットの情報とは異なる「本当の」その地・人の情報を知ることができる点
  • 日本について深く知るきかっけになる点(海外の人に聞かれるため)
  • 英語力が上がる点
  • 航空券、滞在費、食費など全てが無料である点

など、非常にメリットが大きいです。「体験」は座学とは異なり、五感を用いて学ぶことができるため、最良の学習方法となります。現在は新型コロナウイルスの影響で、実際に現地に赴くことが難しい現状があります。しかし、オンライン留学や、オンラインで単科のSustainabilityや環境について海外の学生と共に学べるコース(オンライン留学)も増えてきました。

本サイトでは、さまざまな無料海外プログラム・無料留学プログラムを紹介しています。無料で海外に行くのは意外と難しいことではありません。

ぜひ、環境先進国や環境課題の多くにに訪れ、五感を通じて環境問題について考えるようにしてみましょう。

オンライン英会話で環境学習

また、オンライン英会話も、英語力向上だけでなく、海外の方々と直接話、現地の生の情報を知ることができるという点でオススメです。実際、オンライン英会話の講師は、アメリカやカナダ、イギリスからのネイティブの講師だけでなく、フィリピンやセルビア、ケニア、南アフリカ、ジンバブエ、モンテネグロ、インド、ジャマイカ、ボスニア・ヘルツェゴビナなど、実に多様な国々の方々が講師をしてくださいます。

かなり珍しい国の方も多く、私は話しているだけで非常に楽しめました。テレビやネットで受動的に情報を受け取るよりも、能動的に会話を通じて環境について学ぶと、興味も深まりますし、自分の知識も深まるので非常におすすめです。

初心者向けのコースもありますし、無料で何回かトライアルもできるので、ぜひこの機会に試してみてください。

レアジョブ英会話

DMM英会話

こうした機会を活用し、もう一度「環境問題」について考えなおすきっかけ作りをしてみましょう。

身に着けた知識は検定で形にしよう!

本HPやニュース、書籍などを通じて身に着けた知識は、身に着けただけでは役に立ちません。アウトプットをして初めて役に立ったと言えるでしょう。

アウトプットの場は、周りの友人に話してみる、家族と会話してみる、会社の会議で使ってみるなど、様々ありますが、形になるという意味では、検定が最適です。

近年では、環境系の検定、SDGs検定、サステナブル経営検定(サステナ経営検定)、GX検定、CSR検定、SDGs・ESG金融検定試験、公害防止管理者などなど多種多様な検定が用意されています。

ただ、やはり一番メジャーかつ知名度の高い環境検定は、東京商工会議所の主催するeco検定(エコ検定、正式名称:環境社会検定試験)でしょう。

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エコ検定に受かると、「エコピープル」と呼ばれ、認定証がもらえます。さらに、「エコピープル」限定のサポートや情報発信もなされているので、さらに環境に関する理解が深まると共に、様々な環境関連情報・最新情報などを手に入れることができます。

身に着けた知識を、エコ検定の認定証という形にすることができる上、さらに知識を深める機会を得ることで、職場や友人・家族との間でのアウトプットにも磨きがかかります。

エコ検定の合格はそれほど難しくありません。当サイトでも、勉強方法・合格方法・コツなどを紹介しているので、ぜひ読んでみてください。

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